私が覚悟をした時だった……オープンチャンネルから若い男の声が響き渡る。

『止めろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!』

センサーに反応!? ようやく確認できたその光点は小さく、目視でようやく確認できた。

「な!? 上!?」

私が上を見た時、其処にいる“モノ”に私は目を奪われる。

白い装甲、右に1挺の見知らぬ突撃砲、左に盾、細身のボディー、黄色い二つ目のセンサーと左右対称の4本のアンテナ、何より目を引いたのが蒼い10枚の翼。

正に御伽噺に出てくる天使を機械的にしたらこうなると言わんばかりの佇まいをした機体だった。

『大丈夫ですか!? 怪我はありませんか!?』

音声だけの通信でその機体の衛士が語りかけてきた。

「怪我はない……ソレよりもお前は一体!?」

私の疑問を遮り、ヤツは言い放つ。

『その話は後です。目の前の敵を片付けましょう』

そう言い、天使の様な戦術機は上空高く舞い上がった。

私はその行為に唖然とする。

レーザー級の影響下にある戦場で空を飛ぶなど自殺行為以外の何者でもない。

しかし、ヤツは舞い上がった。

それだけじゃない、迫り来るレーザーを簡単によけているのだ。

「……そんな……馬鹿な……」

私の言葉は戦場の衛士達の思いを体現した言葉だった。

ヤツは右マニュピレータに持った突撃砲を乱射しながらベータの群を滅ぼしていく。

そしてヤツは腰の砲身と右手の突撃砲を正面に構えたかと思えば翼に収納されていた大きな砲を展開した。

二つの砲は赤い色の光を放ちながらBETAの群れを焼き払った。

そして、ヤツから緑、赤、黄色の光が一斉に放たれる。

その眩い光はBETAを焼き滅ぼしていく。

僅か30分でアレだけいた旅団規模のベータが壊滅した。