「メイ社長、僕を新日本に入れて下さい!」
「どうしたんだ、宮原選手? 何かあったのかい?」
「今晩、後楽園ホールで野村と三冠戦をやったんですが、その前哨戦として、
12日に新木場でタッグマッチをやりました。
実力からいえば、野村のデブに僕が負けることはありえない。
それなのに、秋山社長の指示で、僕は野村にフォール負けしてしまったのです。
前哨戦のタッグマッチとはいえ、相撲のぶつかり稽古みたいなことしかできないヤツに
フォールをとられるのは本当に屈辱でした」
「でも、今晩の後楽園ホールでは、君が勝ったんだろ?」
「つい先ほど試合が終わったばかりですが、僕が勝ちました。でも、今時、前哨戦の
タッグでチャンピオンが負け→本番のタイトルマッチではチャンピオンが勝ち、
という見え見えのくそダサいブックに喜ぶファンがどこにいるというのでしょうか? 
秋山社長は頭が古いんですよ。
ブックとはいえ、野村や諏訪魔さんのような劣化版大相撲しかできないデブに
星を献上するのは、耐えがたい屈辱なんです。僕は新日本さんのリングで、
『本物のプロレス』がしたいんです。相撲の真似事をさせられるのは心底嫌なんです」
「よし、わかった。今年はまだ全日本との契約が残っているだろうから、
来年からウチのリングに上がる、ということでいいかな?」
「はい、よろしくお願いします。今年は何とか屈辱に耐えて、来年花を咲かせます!」