当夜、タイトルマッチの開始時間が迫る中、
今日の結末を何も聞かされていないレフェリーの沖識名は、
マッチメーカー(シナリオ作者)でもあった吉村道明を控室横の暗がりに呼び出し、
勝ち負けのシナリオを聞き出そうとしたが、吉村の返答はにべもなかった。


「実力のない馬場をさも強そうに見せるストーリーを考えるのはもう止めた! 
頭が痛くなるばかりだ!
 ワシよりも馬場とツーカーの仲である芳の里に相談すればいいではないか!」
その横で豊登はニヤリと笑い、
「馬場はもうじきインターのチャンピオンになるほどの実力者。
闘う前に打ち合わせなどしなくても、
プロレス新聞がタレ流す通りの力を出せばデストロイヤーとて目じゃないはずだ!」
と冷たく言い放った。