猪木さんのエピソードといえば忘れもしない、高田さんが付き人やってた頃の話なんですけど、よく「明日、走るぞ」って突然言うんです。「明日の朝六時に起こせ」と。
みんなしょうがないから、高田さん、僕、高野俊二、小杉さん、仲野信ちゃんっていうメンバーで一緒に起きてランニングするんです。
走り出す時には猪木さんが一番、先頭を走ってるんですけど、僕ら若いから、どんどん先に行かなきゃいけないんです。
だから猪木さんを抜いて、その5人でずーっと走って行くんですけど、気づいたら後ろを走ってた猪木さんの姿も見えなくなってて、ゴールがどこだかわからないわけです。
みんなで止まって待ってるのもアレだし、「どこまで走れば猪木さんが納得するかな」って、ずっと走り続けてたら海岸まで行っちゃってね。冬の寒い北海道だったと思います。
海岸まで着いたから「もうここまでくればいいだろう」と思って待っていたら、猪木さん、来ないんです。途中でタクシーに乗って旅館に帰っちゃったらしいんですよ。
僕たちが走ったのは何だったんだって。その時の写真、確かどっかにありますよ。猪木さんが走るっていうから、カメラマンの人もついてきたんです。車に乗って先の方で待ってたのかな。
でも結局、写真には僕らだけ写っていて、猪木さんはいない(笑)。