『小学6年生に向かって』

僕も、春からせっかく慣れ親しんだ
この5年生の教室を離れて
6年生へと学年が上がります
僕は、進級してクラス替えが
おこなわれるたび
あの時のことを思い浮かべるのです
僕がまだ、幼い頃
北海道の小樽(おたる)で
僕の実家は
『巴(ともえ)寿司』という寿司店を営んでいました、でも巨大チェーン店の
『笹(ささ)寿司』による
度重なる嫌がらせのせいで
最低の材料しか手に入らず、店は廃(すた)れていました
僕は笹寿司の鼻をあかすために
『寿司握りコンテスト』の出場を
お父さんに提案しました
お父さんとお母さんは
ネタを獲るために漁船に乗り込んでくれましたが笹寿司の謀略による
漁船が転覆してしまいお父さんが重傷をおってしまったのです
僕は、お寿司を握れない
お父さんの代わりにコンテストに出場しました
東京の名店「鳳(おおとり)寿司」の
親方である
鳳征五郎(おおとりせいごろう)に
職人としての心がけを認められて
一人前の寿司職人になるため家族で
神奈川県座間市に引っ越して
そして、旭(あさひ)小学校に来たのです