1、自分を苦しめず、また他人を害しないことばのみを語れ、これこそ実に善く説かれたことばなのである。

2、症候は公のコミュニケーションからは排除された、禁断の欲望のシンボルに連なる公のテクストの断片
  なのである。

3、広い意味でとれば、想像界とは、休むことなき自己の追求、自己は統一されているという物語を支える
  ために、次から次へとおのれに似た複製を取りこみ、融合しつづける動きのことだ。

4、共同体は全員一致して、身を守ることができないだけでなく、復讐を企てることが全くできない犠牲者
  を血祭りにあげる。

5、そんなことを繰り返しても彼は決して捕まらないのだと、そういうタイプの人間がいるのだと、知っていた。

6、“敵”の力が強くなる前に、反逆の芽は事前に摘んでおかなければならない。それが、とどのつまり、
  「治安維持」であり、「公安活動」なるものの本質である。

7、死者の帰還は、伝統のテクストの中にはその死者の場所がないということを意味している。ナチスに
  よるユダヤ人大量虐殺とソ連の強制収容所という二つの大きな外傷的出来事は、二十世紀における
  死者の帰還の典型的な例である。その犠牲者たちの影は、われわれが彼らを正しく埋葬するまで、
  すなわち彼らの死という外傷を歴史的記憶に組み込むまで、「生ける死者」として執拗にわれわれを
  付け回す。