リーマン・ショックの起きた2008年末から09年初めにかけて、日比谷公園(東京都千代田区)で雇い止めにあった派遣労働者らを支援した「年越し派遣村」と同様の取り組みが計画されている。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、人が集まるのが厳しい状況にあるが、主催者は、「感染防止対策を取りつつ支援を必要とする人のための場を作りたい」と話している。【東海林智】

 取り組みは、「コロナ災害乗り越える『なんでも相談会』日比谷公園」。コロナ禍で、今年4月から電話による労働や生活の相談を受けてきた団体が、実行委員会を作り実施する。実行委には労働組合の全労連や医療団体や商工団体、反貧困ネットワーク、ホームレス総合相談ネットワークなどが参加、支援活動を行う。

 実行委によると、電話相談を続ける中で、コロナ禍によって、非正規労働者たちが、雇い止めにされたり休業補償をもらえなかったりして困窮している。特に女性の困窮が目立つ。そうした人たちは、「みんなが苦しい中、助けてと言えない」などと声を上げるのをためらう人もいるという。対面での相談会を実施することで、直接働きかけができ、また、苦しんでいる人が声を上げても構わないという状況を作りたいという。

 実行委の一人で全労連の黒沢幸一事務局長は「このままでは年末にとんでもないことになる。困窮者を救い、多くの人が困窮していることを可視化するためにも、感染拡大に配慮しつつ相談会を成功させたい」と呼びかけている。

 相談会では、労働問題の他、生活保護や住まい、学費、健康など多様な分野の相談に応じる専門家を配置する。さらに、おにぎりや米、リンゴ、缶詰など緊急支援の食料配布も実施する。

 相談会は19日午前11時〜午後5時、食料配布は午前11時半から、午後3時半からの2回。会場以外の電話相談はフリーダイヤル(0120・157930)。日比谷公園での相談会を実施するためのカンパも募っている。問い合わせは全労連(03・5842・5611)。

年越し派遣村
 2008年12月31日〜09年1月5日まで、日比谷公園で、労働組合、弁護士、NPOで作る実行委員会が実施。リーマン・ショックで、仕事と住居を失った派遣労働者など約500人に食事と寝場所を提供し、住居確保などの生活相談に応じた。