排気ガスやタバコの紫煙あるいはアスベスト(石綿、ブレーキあるいは従来の断熱建材の原料)は空気中に浮かぶ微小粒子であり、肺の奥まで入っていけます。
異物が繊毛のない肺胞まで入ってしまうと、繊毛による排出は出来なくなります。
繊毛上皮細胞を使った興味ある実験があります。この細胞を特殊な皿の上に培養しておき、繊毛が一定の方向に運動しているようにしておきます。
タバコの煙やヤニの水に溶ける物質を培養液に加えると、繊毛運動が急激に弱まってしまいます。
こうした変化は喫煙者の気管支の繊毛上皮細胞でも予測されていますし、化生といって繊毛のない別の上皮細胞におきかわることもよくしられています。
このような状態になると異物が気道粘膜にたまってしまい、炎症を起すことになります。
異物の発がん性と局所の炎症細胞の産生する活性酸素は上皮細胞の破壊と細胞再生にともなうDNA障害を引き起こすことになります。