投資で成功するためにバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)などの市場平均連動型ETFに投資している投資家がいますが、
ハッキリ言ってVTIでは投資で成功することはできません。

最初に明確な定義をしなければなりません。
投資で成功するということは市場平均をアウトパフォームすることです。
VTIは市場平均に連動するだけなので、平均的な良い成績か平均的な悪い成績しか期待できず、
市場平均をアウトパフォームすることはできません。
つまり、投資で成功することはできないのです。

投資で成功するためにはみんながやっているようなことを一緒になってやっていてはいけません。
しかし、誰もが生まれながらにして高い投資能力を持っているわけではありません。
また、投資能力を高められる人はごく一部の限られた人であって、ほとんどの人は能力を高められずに市場平均以下の成績しか収めることができません。
結果、投資で成功することを諦め、平均的なパフォーマンスを目指してVTIのようなETFに投資するというわけです。

一流のファンドマネジャーですら常に市場平均に勝てるわけではないので、それは当然のことかもしれません。
なぜ一流のファンドマネジャーですら常に投資で成功できないかというと、
投資で成功するための普遍的な法則などないからです。
ある時期では有効なアプローチも突然通用しなくなるということは何も珍しい話ではないのです。
そして新しく生まれたアプローチも次第に有効性が低下し、また新しい投資アプローチが生まれるのです。

ジェレミー・シーゲル氏は投資で成功するために『株式投資の未来』(日経BP)
で株式市場の歴史を振り返り、過去に答えを求めました。
結果、高配当利回りのオールドエコノミー株に投資し、
配当を再投資することで市場平均をアウトパフォームできると結論付けました。

つまり、投資で成功したければVTIなどの市場平均連動型ETFに投資するのではなく、
また、アマゾン(AMZN)やフェイスブック(FB)などイケてる銘柄でもなく、
ファイザー(PFE)やメルク(MRK)、コカ・コーラ(KO)、ペプシコ(PEP)、
コルゲート・パルモリ―ブ(CL)、プロクター&ギャンブル(PG)などの高配当オールドエコノミー株に長期投資しろというわけです。

ただし、高配当オールドエコノミー株を買って、あとはほったらかしにして良いというわけではありません。
必ず配当を再投資し、株数を増やさなければ意味がないのです。
その際、タイミングは無視して良いです。
タイミングを意識しすぎると「さらに下がる」ことを期待して「買い」に躊躇して結果的に買い逃すということになるからです。

コツコツと定期的に買い増すことで下落相場でも買い増すことができます。
そして覚えておいて欲しいのは、配当再投資戦略において下落相場がある方がかえって財産が増えるということです。

これは下落相場で株価が大幅に下落することで配当利回りが高まるため、
買い増す株数が自然と多くなり、上昇相場で一気に資産が増えるからです。
だから、いま手持ちのバリュー株が下落しているからといって悲観的になる必要はありません。

ぼくの場合、ウォルマート・ストアーズ(WMT)やIBM、
エクソン・モービル(XOM)などが下落していますが、
株価が下がる一方で配当利回りは上昇し、この下落相場でとくに買い増ししてきました。

株価が下落しているからと言って見限るのはバリュー株投資のスタイルではないのです。
こういうときに買い足して上昇相場に備えることで市場平均をアウトパフォームすること、つまり投資で成功することができるのです。