(ライジング現代文 内野博之 桐原書店 ISBN-13 : 978-4342262234)

しかし、現代文の学習を投げ出す前に、一度考えてみてほしい。
現代文学習は何ができればいいのか、キミがその目標を理解しているか、ということである。
(中略)
大学が受験生に求める学力とは、高等学校の現代文教育と異なるはずがない。
高等学校の現代文の教科書には設問が付いていないので実戦的ではないなどと言っている受験生は、
大学が求めているものが何かがわかっているとは言えないのではないだろうか。
(中略)
何が「基礎」「基本」なのかわからないという声が聞こえてきそうである。
しかし考えてみれば、高等学校の授業でやっていたことはそれではないのか?
高等学校はそれとは異なるものを三年もかけてやっていたのだろうか?
(中略)
読むことが第一義的に求められており、読めれば解けるように設問は作られているのに、
そのような出題者・大学教官の意図とはむしろ逆に、読むことから逃げ回り、
解き方で問題を解決しようとする受験生のニーズに応えてしまえば、受験生が読解力をつけ、
学力=点数を上げる助けとはなりにくいだろう。
(中略)
受験生は「解き方」という言葉をしばしば使うが、そもそも大学は課題の文章が読めるだけでは
解かせてくれないものだろうか?「解き方」を知らないと、解かせてくれないのだろうか?
そんなことはあるまい。どこの大学が塾や予備校に行って「解き方」を教わってこい、
でなければ解かせてやらない、などと言うものか。