医学部入試不正はなぜ私立大学ばかり…背景に何が?

中原一歩2018.11.2 11:30AERA

東京医科大に慰謝料と入試成績の開示などを求めて会見した弁護団。
会見には顔と実名をさらして現役医大生も参加した (c)朝日新聞社

 また補欠合格者の選定でも、臼井前理事長が学務課職員に指示し、
名簿で上位の5人を飛ばす形で、特定の受験生に電話連絡し、繰り上げ合格させていた。この5人はいずれも女性だった疑いがある。

 驚くのは明らかな「性別」や「学歴」による「差別」を、
「調整」という言葉で正当化してきた大学側の意識だ。
一般常識とはかけ離れた「医学部ムラ」の論理は東京医大に限ったものではないと
社会学者・新雅史氏は指摘する。
また、こうした不祥事が私立大学で続いていることについて、国立大学に比べ、私立大学が圧倒的に経営のガバナンスが厳しく、
結果、理事長など経営陣の意向が入学試験にも反映されやすいからではないかと推測する。

「最先端の医療研究を主体とする国立大学に比べ、
大学経営の中心が臨床である私立大学では、理事会の意向を忖度し、
忠実に働いてくれる研修医が必要不可欠。
卒業後も大学病院で即戦力として長く働いてくれる人材を探している。
また手術を手がける外科を中心とする医局は、いまだに男の戦場という認識が強い。
老舗の医科大ほど手術室における女性の割合を気にする傾向がある」(新氏)
https://dot.asahi.com/aera/2018103100014.html