そんなことよりさ、昔一回死にかけたんだよね。
再受験3年目のセンター試験の初日で7割ぐらいしか取れなくて。駅前で発狂して「イガクブ、イガクブウカラセテクレ!」と叫んでたら失神してさ
大学の救急センターに担ぎこまれてて、ストレッチャーに寝かされてた。で、聞こえるんだよね。うっすらと。当直の若い医者とか、看護士の会話が。
「こりゃぁ、もうダメだな」 「こいつはいい年して大学受験なんかしてたそうだぞ。このまま逝かせてやれよ」
「先生、ちゃんと治療してあげましょうよ…」「お前隣家の住人が20代後半で大学受験なんてしてたら怖いと思わないのか?」
漏れ、悲しくなったよ。声は聞こえてるんだけど、体は動かないんだ。
「先生、後でややこしいことになりますから、一応心臓マッサージだけは…」「めんどくせ。家族に連絡するための身元わかる物ないか?」
看護士が漏れのワイシャツの胸ポケットに入ってるパスケースを取り出した。

「せっ先生!大変です!こ、これが…」
その瞬間パスケースを見せられた若い医者、まじでのけぞって驚いた
「うぉぉぉぉっ!こっこれは、我々国立大学の医者程度では極めて持つことが難しく、文部科学事務次官以上のポストでないと
絶対に審査に通らないといわれてる、医師の羨望、まぼろしのカード、三井住友VISAカードじゃないかあっっっっ!」

それからが、大変だったよ。
深夜だというのに各科の教授クラスが全員召集されて、強力な医師団が結成されてね。
「いいか、絶対治療して差し上げろ。相手は、三井住友VISAカードのホルダー様だぞ。もしものことがあったら、
我が大学の名誉は丸潰れだ。絶対、何がなんでも治療しろ!なんならお前ら全員、臓器を提供しても、だ!」

そして… 今、こうして体験談を書けるようになった漏れがいるってわけだ。
入院中はエビちゃん似の看護士さんが、24時間専属で世話してくれたことは、言うまでも無い。
ほんと、改めて三井住友VISAのステータスを実感したよ。
まぁ朝に通りに落ちてたのを拾っただけで自分のではないんだけどね。
その後どうしたって?もちろん警察に届け出て持ち主にたっぷり謝礼も貰ったよ。
それから5年たった今でも大学に受からず、貰ったお金で再受験を口実にした無職やってまーす。