こうした非常勤雇用は私大に多く有名大学で半分、中には7割に達するところもある。
大学全体でも正規雇用(教授、准教授など)17万人に対し、ポスドク、文系非常勤講師などを含めた
任期つき非正規雇用は5万人程度で、ほとんどは任期1〜3年。その他に非正規の働き口さえない者が5万人程度いるとされる。

発端は1991年に当時の文部省が始めた大学院重点化政策にある。
21世紀には修士、博士の必要性が高まるとの予測のもとで始まり、1991年に10万人だった修士・博士は
2011年には約26万人まで激増した(平成23年度 学校基本調査より)。

問題は“出口”が用意されていなかったことだ。例えば今、博士が大学教員として正規雇用されるかは、
研究実績よりも「ポストに空きがあるかどうか」という要素が強い。院生を増やしても、上の世代がポストを空けなければ行き場はない。