性・多浪差別「許されない」、個別優遇「不適切」
東京医大・第三者委員会が提言、追加合格、補償も求める

 10月23日に公表された東京医科大学の入試不正を調査している第三者委員会の第一次調査
報告書では、具体的な問題行為の内容に続いて、その評価と今後なすべき対応についても示した。
性や多浪による不利益な扱いは「許されない」と断じ、特定の受験生を優遇するなどの「個別調整」
も不適切と指摘。不利益を受けた受験生に対しては、追加の合格判定と、補償などの請求に誠実
に向き合うこと、それに際して「一切の性差別の禁止」することなどを提言した(問題行為の詳細は
、『東京医大前学長「関係者なので、合格」』を参照)。

 問題行為は、性別や年齢等による「属性調整」と、個別ケースで対応する「個別調整」に大別できる。

 報告書の「第6 問題行為に対する評価」では、まず入試に関する大学の裁量権について検討し
た。前提として、日本国憲法第23条(学問の自由)の制度的保障として大学の自治が認められて
いるため、「合格者の選抜に東京医大が一定の裁量権を有することに疑いはない」と指摘。2007年
に群馬大学医学部入試で不合格となった受験生が、合格者の地位を求めて同大学と争って敗れ
た訴訟の東京高裁判決も例示し、「試験実施機関の最終判断に委ねられるべきもの」だと説明した。

 一方で、「大学の裁量権にも制約はある」と指摘。群大訴訟の東京高裁判決でも憲法や法令に
反して「年齢、性別、社会的身分等によって差別が行われたことが明白である場合には、裁量権
を逸脱、乱用したものと判断するのが相当」としており、裁量権の逸脱・乱用があったかどうかの
判断には以下の規範や事情を挙げた。

憲法第14条(法の下の平等)
教育基本法第4条(教育の機会均等)、第6条(学校教育)、第8条(私立学校)
男女共同参画社会基本法第3条(男女の人権の尊重)、第4条(社会における制度または慣行
  についての配慮)、第10条(国民の責務)
大学設置基準第2条の2(入学者選抜)
東京医大の学生募集要項  アドミッションポリシー(東京医大のホームページを参照)、選抜方法

(後略)
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/637279/?category=report