>>642 からのつづき)

【V2 レトロスペクティブにみたビジュアル 26-1】
課題文は6人兄弟の物静かな息子の自伝風。焦点は2つ。「副詞修飾の不定詞」と「同格名詞節」。さらに本編中で最後のルール、
ルール 11「冠詞と所有格のあとには名詞がある。このとき「冠詞(所有格) … 名詞」の中に閉じこめられた語句はその外に出られない。」
が出現して、ルールが全部出揃います。

・・・ここで少しだけ余談を許していただければ、まだ形式主語も強調構文もno more ... than ...も might as well ... as ...も出て来ていません。
にも拘らず、こ〜んなに学ぶことがあるのです。

山崎貞が『新々英文解釈研究』の中で提示した「英文解釈の公式」とは全く違う重要ポイントがこれほどあり、それを徹底しなければ、細かい知識を収集しても、砂上の楼閣に過ぎないと伊藤先生は暗に示しているわけです。
しかし視点を変えてみると、ルールの提示もこれで終わりました。伊藤先生が英文解釈の基本と考えているものの骨組みは完成したわけです。
あとは「普通に」知識を積み重ねてゆけばよい。そこまでの勉強に約30題が必要、ということです。

もう一つ、今回まとめて気がついたのですが、これは「知識」というより「トレーニング」なんですね、あるいは「思考訓練」(ちょっと狙い過ぎ?) 。
関係詞のちょっと入り組んだものも、疑問副詞howや疑問形容詞whatの節も、みんな語順の変更を伴い、元の文が見えにくくなっている。
それを復元する作業は本来頭の中でやるものですが、それを紙の上で実行し、結果とプロセスを頭の中に焼きつけ自動化を準備する。
ワーキングメモリーを新しい言語の処理法のために配置する回路を作り、そしてあとは慣れによるスピードアップを狙う。
そういうトレーニングを今までやってきたわけです。
『ビジュアル』や『ルールとパターン』は組み上げる形の本で最初から順番に読み、順不同に読んではいけない、という事になっていますが、
ここまで来てしまえばあとは単に例題を積み重ねればいい。あんまり順番にこだわらなくてもいいわけです。
ですから「『ルールとパターン』→『ビジュアルPart 2』などという読み方も可能だ」と言っているのです。