経済産業省の若手官僚(キャリア職)がこの1年間に23人もの大量退職していたことが明らかになった。同省ではこれまでに15人程度辞めたことはあったが、これほどの大量退職したことは過去に例がないそうで、その理由が何なのか問題視されている。

同省は「霞が関」の中央官庁の中でも産業、エネルギー政策を担うエリート官庁で、国家公務員試験(総合職)の合格者の中でも優秀な人物を毎年50人程度、採用してきている。

人気薄れたキャリア職

この1、2年は、財務省の公文書改ざん、文部科学省幹部の汚職逮捕、厚生労働省の毎月勤労統計数字のミスなど、主要官庁で不祥事が相次いで起きていることも、「霞が関」のイメージを悪くしている。
こうしたことも影響しているせいか、1996年には約4万5000人が総合職試験を受験していたのと比べると、半数以下にまで落ち込んでいる。

人事への不満も

キャリア職の中途退職が多いことについては、2014年に設置された内閣人事局の存在を指摘する見方もある。各省庁の幹部人事を同人事局が決めるようになり、政策決定についても政治主導が目立っている。
その一例が、17年10月の総選挙前に急浮上した、消費税の増税分を財政再建よりも幼児教育の無償化に優先的に使うという政策変更だった。幼稚園や保育所の担当省庁の官僚には相談がなく、ある日突然、結論が通告されたという。
このようなゆがめられた政策決定が常態化すると、国政を担うのが生きがいと思って役人になった霞が関の若手官僚たちは、政策立案の意欲を削がれてしまう。

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18606