28歳旧帝中退再受験生の歯が浮くような志望動機が、面接官を務める俺の頬をかすめる。風圧と激痛。
マウスピースが血の糸を引いて飛ぶ。
俺は後方にスウェイしながら右足のバネを使って
再受験生のふところに飛び込み、がら空きのレバーに
腰の回転を効かせて言葉の右ボディブローを三つ叩き込む。
「仮にあなたを入学させたとして、本学にどのようなメリットがあるんだっ!!」
再受験生の胃液がおれの右肩に垂れる。
「一発逆テェ.....」
眼球を飛び出させて、かすれた声でうめく再受験生のチンに、
「ハローワークで永遠に眠りな」
ふくらはぎのバネを収縮させて最後のアッパーを打ち上げる。
再受験生の運動をしてないためにだらしない体が浮き上がって反り返り、後頭部からマットに派手な音をたてて打ち付けられる。
少し遅れて血まみれのマウスピースがマットに着地する。
「次は30歳慶応院卒無職のおまえや」
俺は口の血をグラブでぬぐいながら、
ロープの間からおれを凝視する二つのおびえた小さな目に指名する。