>>483続き
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推進派の戦略は党内世論を高め、政府を動かすこと。
だが首相は所信表明演説で「安全最優先で原子力政策を進める」と触れただけ。
昨年秋の臨時国会では従来通り、新増設は「現時点では考えていない」と答弁した。

推進派の若手議員は「脱炭素を訴える割に、原発推進の意欲を感じない」と不満を隠さない。
ある派閥領袖(りょうしゅう)は「支持率が下落する中、党内の声を聞かないと首相の立場は危うくなる」とけん制する。
原発政策に首相の関心は必ずしも高くない。
官邸幹部によると、所信表明演説の原案に原子力の記述は全くなく、世耕氏が「脱炭素と原発の活用は一体だ」と注文し、土壇場で追加された。
官邸幹部は「原発のことは首相の頭になかった」と明かす。