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 大学側の対応にはもっと大きな疑問がある。
国際医療福祉大学の医学部開設と附属病院建設は、かつて国会で「第二の加計学園」問題として取り上げられたことがある(本誌2017年9月8日号既報)。
 同大学は厚労省や文科省OBが要職を占める「天下り王国」と呼ばれ、安倍政権は国家戦略特区として38年ぶりに医学部新設を認可。
全国的に病院の病床数を減らすなかで付属病院に大幅なベッド数の増加を認めた。
 地元・成田市が医学部誘致のために巨額の補助金を出したことも加計問題と構図が似ている。
 その大義名分が成田エリアを医療特区にして外国人医師の養成と外国人患者を受け入れ、医療の国際化を推進するというものだった。
今回の新型コロナへの対応は、同大学にとって批判をはねのけ、医学部と付属病院開設の意義を示す大きなチャンスのはずだ。

 ところが、同大学は成田空港の水際対策のためにわざわざ開設を早めた附属病院に、感染者とはいえ首相ブレーンの教授を優先的に入院させた。

同大学広報部にA教授が入院した経緯について問うと、こう回答した。
「患者さまが成田病院受診前に他の医療機関を受診された経緯については、把握しておりません。成田病院は十分な病床数を有しており、
医療機関として診療や入院が必要とされる患者さまについては、可能な限り受け入れることが社会的責務であると考えております」
 病院が「社会的責務」を全うするのであれば、少なくとも、A教授を優遇入院させるのではなく、保健所を通じて都内の指定病院に入院させ、
成田病院のベッドを帰国者などの感染者のために空けておくという姿勢を取るべきではなかったのか。

これでは医学部と病院開設の意義を問われても仕方がない。
※週刊ポスト2020年4月10日号