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■天皇タブーより強大になった安倍政権タブー

どうだろう。こうして、7年間の言動を振り返ってみれば、
天皇と皇后がいかに、安倍政権による民主主義や平和主義の破壊に心を痛め、なんとかそれを押しとどめようとギリギリのところで発言を繰り返していたことがよくわかるはずだ。

 しかし、天皇・皇后のこうした発言や姿勢はテレビなどのマスコミで報じられることはほとんどなかった。
NHKが2013年の誕生日会見で憲法に触れた部分をカットして放送したのをはじめ、
多くのメディアは戦争や憲法と関係のない当たり障りない部分ばかりをクローズアップ。全文紹介したとしても、その意図をきちんと報じることはほとんどなかった。

 そして、いま、平成から令和への代替わりにあたっても、「振り返り」のなかで、護憲や反戦、安倍政権へのカウンター的発言が紹介されることはほとんどない。

 いったいなぜか。それは、前述したように、安倍政権が天皇・皇后のそうした動きに陰に陽に圧力をかけ、それをメディアが忖度しているからだ。天皇よりも安倍政権を恐れたメディアは、
政権批判につながる天皇の発言を封印してしまったのだ。

 昭和から平成の代替わりでは大規模な自粛が起きて、メディアにおける天皇タブーの存在が浮き彫りになった。
しかし、平成から令和への代替わりで浮かび上がったのは、天皇よりも安倍政権批判がタブーになってしまったという、日本の状況だったのである。