今年(2020年)の所得に基づいて「困っているかどうか」を判断しないといけないので、自己申告にしたというが、この制度設計をした者は、当局がいつ今年の所得を把握できるのかわかっているのだろうか。
現時点で、昨年(2019年)の所得を当局は把握できていない。要するに、今年の所得が把握できるのは、少なくとも1年以上先だ。

 自己申告制には「虚偽申告が相次ぐのではないか」(与党幹部)との懸念があるので、政府は、証明書類の添付や不正申請に罰則を設ける案も含めて検討する方針だという。

 いつの段階で、当局が所得を把握できるかもわかっていないから、罰則を設けるという筋違いの対応が出てくる。しかも、給付金は非課税措置にするという。

 こういう危機の時には、思いつきの案ばかりが出てくる。原則は、既存の制度や海外の事例を参照することだ。原則を知らないと、今回のような稚拙な制度になる