例えば、「現金給付を1世帯あたり30万円」と報道されているが、その中身は、「所得が減少している」という条件が付されている。
その結果、給付金総額は3兆円程度に抑えられるという(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57651530T00C20A4EA3000/)。

もしそうなら、これはGDPのわずか0.6%程度であり、GDP低下分を埋める有効需要を作るという政府の責務とはかけ離れたものとなり、話にならない。

 消費減税もなしで、直接家計消費に働きかける政策にはなっておらず、GDPへの影響でも一桁小さい。論外の政策だ。

 しかも、「1世帯あたり30万円の現金給付」のやり方が、元官僚の筆者からみると、おそろしく稚拙で驚いてしまう。

 現金給付の前例は、麻生政権時、2009年の定額給付金だ。これを麻生財務相は「失敗例」としているが、
効果がなかったのは給付金額が少なすぎたからだ。国民一人あたり1万2000円、総額2兆円弱なら、0.2%程度のGDP押し上げ効果しかないのは当然だ。
当時は世界でも日本だけが金融緩和せず、円高になって外需が失われたことも大きい。

 現金給付の前例は、麻生政権時、2009年の定額給付金だ。これを麻生財務相は「失敗例」としているが、効果がなかったのは給付金額が少なすぎたからだ。
国民一人あたり1万2000円、総額2兆円弱なら、0.2%程度のGDP押し上げ効果しかないのは当然だ。
当時は世界でも日本だけが金融緩和せず、円高になって外需が失われたことも大きい。

 その反省を生かすなら、給付額を上げると同時に金融緩和をセットすることだが、今回は事前の所得制限に走ってしまった。