「私立大学を選ぶのは、逃げではない」

宮城県は国公立大学信仰が強い地域です。

ですから、中堅以上の公立高校に入った子は、入学時に国公立大学を第一志望校にする場合がほとんどです。

ただ中には、途中から私立大学に志望変更する子もいます。

理由は様々ですが、志望大学の変更を高校の先生に告げると、

「お前は逃げるのか!」

というようなことを言われることがよくあります。

でも、私立大学に魅力を感じている子にとってはそれは的外れな批判ですし、理数系教科が苦手な子や、国公立大学の合格ラインをだいぶ下回っている子は、早めに私立大学に志望を変えるのも一つの方法です。

本人も保護者もそれで納得しているのであれば、なにも第三者が口出しをすることはないと思うのです。

それなのに、高校の先生が強く国公立大学をすすめるのには、大雑把に言って2つの理由があります。

高校の先生が国公立大学をすすめる理由の1つめは、「今の公立高校は、国公立大学の合格者数で評価される傾向があるから」です。

高校の説明会に行くと、

「うちの高校は国公立大学に〇〇名合格しました」

というような話がよく出てきます。

具体的な数値目標を設定している高校も多いのですが、その目標を達成するには、できるだけ多くの生徒に、国公立大学を目指してもらう必要があります。

それで高校の先生は、国公立大学をすすめるわけです。

もちろん高校の先生も、国公立大学合格者の数字だけを追い求めているわけではないでしょう。

生徒の志望や適性に合わせた進路指導を心掛けていらっしゃるのだとは思います。

ただ経験上、やはり公立高校の先生は、国公立大学に偏った進路指導をなさる傾向があります。

実際私も、高校の先生から強く国公立大学をすすめられて大変な目にあった生徒を何人も見ています。

また、高校の先生が国公立大学を推すのは、「国公立大学志望者のほうが指導しやすい」という点も理由の一つに挙げられます。

私立大学の場合は、基本的に大学ごとに問題が異なります。

当然、難易度や出題傾向も違っているので、対策のしかたも大学ごとに異なります。

それに対して、国公立大学は基本的に全てセンター試験を受けることになります。

しかも中堅レベルまでの国公立大学は、個別試験の配点割合が低く、科目数も少ないので、センター試験でそれなりの得点が取れれば、なんとか逃げ切れる場合が多いのです。

ですから授業や補習は、センター試験対策中心に組めばよいので、なにかとやりやすいのです。

いずれにしても、宮城県の公立高校が、国公立大学偏重なのは確かです。

一般受験で首都圏の難関私立大を狙っている人は、高校に頼らず、自分で勉強をすすめるようにしましょう。

弘道ゼミナール 塾長(東北大学OB)
https://ameblo.jp/kodosemi/