週刊読売 1990年4月15日号 170ページ〜175ページ特集

東大102 慶大399 早大341 大学入試を総なめにした「桐蔭学園」 文武両道の研究

今年の東大合格者高校別ランキングで目立ったのが、神奈川県の桐蔭学園という学校である。
東大を筆頭に主要な国公私大は総ナメ。その躍進ぶりはこのところの株安、円安とは対照的に全面高だ。

まずは甲子園優勝で全国に
トーイン この名前が初めて世に鳴り響いたのは昭和46年のことである。この年、夏の甲子園は番狂わせを生んだ。

時移り、平成2年。かつてのトーインは全国区の「桐蔭」として、今年の大学入試戦線をまさに席巻した。
東大102人、京大14人、一橋30人、東工大42人、北大24人、東北大15人、 早大341人、慶大399人・・

受験者は現役140人浪人89人の計229人、合格者は102人。野球でいえば堂々たる4割打者。
鵜川校長は今年の大台突破は予想外ではなかったという。
「去年の11月でしたか、駿台と河合のデータからはじきだされた数字が105と聞いてましたし、
毎年、その予想通りにおさまってましたんでね。102というのは去年の灘の数字なんですよ。
それを思うと、一区切り大きなところに来たなというところですか。
700人以上早慶に合格する力があるウチならまだま東大だって余力があるんです。
その余力を十分発揮させるためには京大、一橋、東工大などは受けさせないで東大に集中させればいい。
受験者をたとえば400人以上にすれば合格者はもっともっと増える計算ですからね。
しかし、ウチは生徒の自主性を尊重してますから、短絡的にそういうことはしませんが・・・」

やがて東大合格ナンバー1高校に
受験産業会でも今年の桐蔭学園の大躍進は予想されていた。
「桐蔭さんではうちが年3回実施している全国統一模試を在校生全員が受験していますが、学校全体のレベル上昇がはっきりと数字に現れていたんです。」
と、河合塾の井崎公勢・東京進学推進部次長は言うのだ。
「それに加えて、センター試験の自己採点集計結果でも85%以上得点した上位者の人数が東京の御三家(開成、麻布、武蔵)とほぼ同数でしたので、
東大合格者が3桁になったのも不思議ではありませんね。進学校では少数精鋭。6年一貫教育が主流となっている中で、
高校入試で外部から新しい生徒を入れてお互いに刺激を与え合ったり、逆に人数の多さを武器にしていますね。
数年のうちには、開成と東大合格者数日本一を争うのは間違いないでしょう。」