2017年の洛星も惜しかった

野球強豪で強豪の付属中学を持っている高校でも甲子園出場を果たしている学校はほとんどの場合、
スポーツ推薦で部員を獲得している。
小学校の有望な選手に声をかけて強豪中学を持っている学校でさえそうである。
仙台育英、星稜、長崎海星、三重海星、高知、明豊、弘前学院聖愛、早稲田実業など皆、
付属中学出身者とは別にスポーツ推薦で入部させている。
それほど完全中高一貫校の野球部を強くすることは難しいとされる。

逆に洛星と同様に硬式野球部がある完全中高一貫校は全国に以下の39校がある。

県立中央中等教育(群馬)、市立伊勢崎四ツ葉中等教育(群馬)、
麻布、東京学芸大国際、都立立川国際、渋谷教育渋谷、湘南学園
聖学院、都立南多摩中等、関東学院六浦、都立桜修館、武蔵
区立九段中等、獨協、都立三鷹中等、攻玉社、穎明館
芝、県立相模原中等、森村学園、逗子開成、関東学院
早稲田、神奈川大学附属、浅野、東京都市大付属、サレジオ学院
海城、高輪、海陽中等教育、高槻、洛星、
奈良女子大附属、甲陽学院、県立今治東中等教育、県立松山西中等教育、県立下関中等教育、
県立輝翔館中等教育、昭和薬科大付属

しかし、甲子園出場はおろか、どの高校も地区予選の上位進出さえ難しいのが現状である。

中等教育学校や完全中高一貫校が硬式野球の世界で勝ち進むのは本当に稀な出来事。
高校では外部から生徒が入ってこないので、「公立中学野球部所属の頭が良いけど野球が上手な中学生」を
「うちを受験してみないか」と入試に勧誘することもできず、中学受験を乗り越えてきた子たちを
地道に鍛えていくしか方法はないのだから。
まず、チーム全体の守備力と打撃力を公立トップ進学校と同レベルでキープしなければならない。
これだけでも、進学校の中等教育学校や完全中高一貫校には至難の業。
練習を厳しくしてチームのレベルをキープし続け、それでも部員を減らさないように野球の楽しさも教え、
そこに好投手が偶然、入ってきたとき、そしてクジ運に恵まれて初めて上位進出が可能になる。

洛星は私立高校であるが1学年の生徒は約200人で高校募集がない。中学入試の難易度が高い学校で入るのも難しい。
そんな生徒たちを鍛え上げて10名の選手だけで京都府大会でベスト8まで勝ち上がった。
中高一貫で高校受験こそないが、学力の成績を維持しておかないと、成績不良で洛星高校に上がれなくなる。

野球部を持つ高校を下のようなカテゴリーに分けると
一番強いのが(1)で例えば大阪桐蔭など。次が(2)で早稲田実業や関西学院高等部のような学校
(3)は市立船橋や都立日野のような高校、(4)は県立湘南や府立北野のような学校
以下(5)→(6)→(7)→(8)の順に野球部は弱くなっていくことが多い傾向にある。

(1) 私立強豪校(通常はスポーツ推薦のみ入部可能)
(2) 私立強豪校(一般入部や附属中内部進学生の入部も歓迎)
(3) 公立野球部強化校(レギュラーの多くはスポーツ推薦入部者)
(4) 公立進学校(地域の中核となっている進学筆頭校で推薦はないが運動部の活動は昔から盛ん))
(5) 一般の公立校(スポーツ推薦者はないが、高校数が少ない地域では野球部もそれなりの人数がいる)
(6) 私立・公立中高一貫(高校から一般入試の募集はあるが、スポーツ推薦なし)
(7) 私立・公立完全中高一貫(中学受験者のみ)
(8) 公立部活動困難校(学校全体で部活動をする生徒が少ないため野球部も人数少ない)

県立中村は(6)のカテゴリー、洛星は(7)のカテゴリー。
こんな下位層の学校が甲子園に出てくることは稀。

強いチームを創るには能力の高い選手をスポーツ推薦で確保することが
必要不可欠と考える強豪校の監督が多い現状において、
もし、21世紀枠はの制度を創設した高野連の思惑の中に私学の野球留学、
プロ予備軍としての部活へのアンチテーゼとがあったとするならば、
選手を全く他の中学から集めることができず、付属中学のメンバーだけで勝ち上がらなければならない完全中高一貫校は
ある意味、高野連の思惑の沿った学校ということはできるだろう。