スタジオジブリ 小冊子 『熱風』7月号 憲法特集
宮崎駿『 憲法を変えるなどもってのほか』

「子どもの頃は『本当に愚かな戦争をした』という実感がありました。
実際、日本軍が中国大陸でひどいことをしたというのを自慢げに
話す大人がいて、そういう話を間接的にではあっても何度も聞きました。
同時に空襲でどれほどのひどいことになったかというのも聞きました。
伝聞も含め、いろいろなことを耳にしましたから、
馬鹿なことをやった国に生まれてしまったと思って、本当に日本が嫌いになりました。

憲法を変えることについては、反対に決まっています。選挙をやれば得票率も投票率も低い、
そういう政府がどさくさに紛れて、思いつきのような方法で憲法を変えようなんて、もってのほかです。本当にそう思います。
政府のトップや政党のトップたちの歴史感覚のなさや定見のなさには、呆れるばかりです。考えの足りない人間が憲法なんかいじらないほうがいい。
本当に勉強しないで、ちょこちょこっと考えて思いついたことや、耳に心地よいことしか言わない奴の話だけを聞いて方針を決めているんですから。
それで国際的な舞台に出してみたら、総スカンを食って慌てて村山談話を基本的には尊重するみたいなことを言う、まったく。
基本的にって何でしょうか。おまえはそれを全否定してたんじゃないのかと思います。

(戦前の日本は)悪かったんですよ。それは認めなきゃダメです。慰安婦の問題も、それぞれの民族の誇りの問題だから、きちんと謝罪してちゃんと賠償すべきです。
領土問題は、半分に分けるか、あるいは『両方で管理しましょう』という提案をする。この問題はどんなに揉めても、
国際司法裁判所に提訴しても収まるはずがありません。 」