秋には正規社員のリストラも

中堅大手の上場企業も、ほとんど雇用には手を付けていない。だが、売上高が大幅に激減している中で、今年度は赤字に転落する企業が少なくない。

それが誰の目にも明らかになってくるのは9月中間決算が発表される10月から11月にかけて。今は今年度の業績予想を「算定不能」として公表していないところが多いが、秋になれば今年度の業績の深刻さが明らかになる。

そんな中で、年末のボーナスを支給できるのか。あるいは雇用に手を付けずに踏ん張ることができるのか。

当然、年末のボーナスが減れば、消費にも大きく響き、再び小売業などの業績悪化に結びつく。景気悪化のスパイラルが始まる可能性もある。そうなれば世の中で再び「リストラ」という言葉が口の端にのぼることになるだろう。
好転の要素は見当たらず

海外からやってくる訪日外国人旅行客の回復も見込めない。インバウンド消費に依存していた観光関連産業の苦境はそう簡単には収まらない。

国境を超えた人の動きがままならないことで、日本と海外の間の貿易量も大幅に減少している。輸出入関連の企業などもボディーブローのように響いてくるに違いない。

外出自粛によるテレワークの急激な普及などで、通信・電子機器やソフトウエア、宅配会社など需要が盛り上がっている企業もある。だが、消費全体が落ち込んでしまえば、こうした企業の売り上げ増は一時的な「特需」で終わってしまうことになりかねない。経済活動の停滞が続いて儲かる産業や企業などほとんどないのだ。