●「ハンセン病遺体389人、解剖判明 熊本の療養所 1911〜65年」(出典:『毎日新聞:2020年9月13日 東京朝刊』)

https://news.yahoo.co.jp/articles/ac6f14aaeb2e50483c871cf644a95ff6000863ef

「国立ハンセン病療養所「菊池恵楓(けいふう)園」(熊本県合志(こうし)市)で1911〜65年に亡くなった入所者のうち、少なくとも389人の遺体が熊本医科大(現熊本大医学部)などで解剖されていたことが、園がまとめた調査報告書で判明した。
 36〜58年には入所者に一律に「解剖願」を提出させていたことも確認された。
 解剖に関する名簿など詳細な記録は残っておらず、報告書は「人権を軽視していたとのそしりは免れない」としている。」

「20年9月にまとまった報告書によると、園の資料と熊本大の解剖資料を突き合わせるなどして、11〜65年に死亡した入所者約2400人のうち解剖された389人の身元を特定した。」

−「◇「医学研究に役立てるため」一律に解剖願」

「報告書では、園の前身である九州療養所の所長らが解剖に関与し骨格標本作製も知りうる立場にあったことや、36〜58年に入所者から「医学研究に役立てるため」として一律に解剖願を提出させていたことも指摘。
 解剖の法的妥当性については「入所者への配慮・説明がどれほどあったのか、倫理性の問題について深く思いを致さねばならない」としている。」

「また、園に解剖された人の名簿がなく、解剖の記録もメモ書き程度のものが少ししか残っていなかったとして「不本意な献体を余儀なくされた御霊(みたま)に申し訳ない」とした。
 その上で「療養所で行われたことが正しく検証できるよう正確な記録を残していく倫理と責任を負っていることを忘れてはならない」と結んでいる。」

−「◇識者「解剖するだけの医学的根拠あったのか…」」

「国のハンセン病問題検証会議で副座長を務めた・・・九州大名誉教授の話」
「解剖の記録がほとんど残っていないことから、解剖するだけの医学的根拠があったのか極めて強く疑われる。
 国際的な解剖の倫理原則では真摯(しんし)な説明に基づく本人や遺族の同意が必要で、一律に同意を得ていたことも手続き上問題がある。
 検証会議は2005年に報告書で問題を指摘しており、解剖や標本の検証はもっと自主的に早くなされるべきだった。」