「ゾンビ企業」破たんの足音、08年超える危機にも
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-nana-otsuki-idJPKCN1NO0N4

[東京 19日] - 9月末までのこの上期、日本の地方銀行がほぼ「貯金」を使い果たした。顧客預金の話ではない。
朝日新聞11月16日付朝刊によると、毎年上期(4─9月)に取り崩してきた貸倒引当金が、今年は5年ぶりに繰り入れに転じた。

地銀はこれまで、2008年のリーマン危機直後に積んだ引当金が決算上の「貯金」となり、取り崩しによる戻入益を計上することで減益を補ってきた。
しかし、ついにこのバッファーが尽きつつある。ある地銀の関係者は、収益のサイクルがいよいよ「最終コーナーに差し掛かった」と表現した。

<上場企業の12%がゾンビ企業>
日本だけの話ではない。世界でも、何とか生きながらえる「ゾンビ企業」が増加の一途をたどっている。
国際決済銀行(BIS)の9月のリポート「The rise of zombie firms(増加するゾンビ企業)」によれば、データが入手可能な14カ国の上場企業の12%が、今やゾンビ企業となっている。

BISが定義するゾンビは、過去3年間、利払いが利益で賄えない状態に陥っている企業である。この低金利環境ですら負担に耐えられないようでは、金利の上昇時にはひとたまりもない。
こうした破たん予備軍の比率は現在、過去30年余りで最悪である。

もし上場企業の12%が本当に倒産したらどうなるか。金融危機が起きた08年ごろに、BISがゾンビと認定した企業の比率は8%程度だった。
一方、S&Pグローバル・レーティングによると、当時の社債デフォルト率は4.24%だった。
ゾンビ比率が12%まで上昇している今、急速な景気後退に見舞われた場合、08年の悪夢を超えるショックが訪れる可能性も否定できない。