ちょっと古い話だが69選手権の三笠(南北海道)を忘れてもらっては困る。

空知地区予選で11-10と9回7点差をひっくり返す泥試合で勢いに乗り、まさかの南北海道大会出場。
1回戦不戦勝とツキにめぐまれ、2回戦室蘭工戦も併殺で試合終了のはずが相手エラーで9回サヨナラ勝ちとバカヅキ。
コールド負け必至と思われた準決勝の北照戦もツキは続き、同点の9回に
走者12塁からの外野への飛球をレフトが転倒しまさかの後逸。2者が生還しついに決勝進出!

だが相手は当時無敵を誇った北海。
三笠が逆立ちしても勝てなかった同地区の三笠大谷を20-2と粉砕しており
「大人と子供の試合」「北海は2軍でも余裕で勝てで勝てる」と揶揄されていた。
実際、北海は試合前に甲子園までの切符の手配も済ませ、OBが祝勝前夜祭を開いていたというから余裕の程が知れよう。

しかし、天はまたもや三笠に味方する。雨でぬかるんだグラウンドに北海は自慢の機動力が生かせず
脆弱なマウンドに投手は本来の投球が出来ない。いつでも点が取れるという慢心も仇となった。
雑なプレーから生じるエラーや四球が重なり、またもや外野手が転倒、失策。6回を終わり3-3の同点。
いよいよ北海打線も焦り出すが、三笠投手の軟投を強引に引っ張り凡打の山。
一方三笠は8回1死12塁からのバントが相手サードの暴投を呼び2者生還。
これが決勝点となり、奇跡の甲子園出場を果たしたのだっのだった。

球場は騒然、北海は呆然。
「なんで優勝したんですかねぇ?」監督インタビューの第一声が、三笠の戦跡の全てを物語っていた。

さて、誰もが予想だにしなかった甲子園だが、さすがにこの頃には、北海道で見せた神通力も消えていた。
1回戦の松商学園戦では本来の戦いぶりを思い出したか予想通り14-0の大敗。
さらにノーヒットノーランのオマケつき。
完膚なきまでに叩きのめされ、三笠のミラクルストーリーは幕を閉じたのだった。

その後三笠野球部が上位進出したという話は寡聞にして聞かない。