結果を基に自覚促す


 では、打席保証をどのようにチームに生かしているのか、例を紹介しよう。

 チームが夏の甲子園に出場した場合、秋の大会の登録メンバーを決めるまでの時間は、必然的に短くなる。3回戦まで進んだ昨年は、10日間ほどしかなかった。

 そうなると、メンバーはそれまでの評価で決めざるを得ない。西谷は、ベンチから外れた選手を一人一人呼んで説明する。

 「今はチームが選抜大会に出られるよう支えてほしい。選抜のメンバーは、今後の努力次第で変わる」と。この時、選手たちのやる気をそがないよう、「打席保証」のことを伝えるのだ。

 平日の放課後などを使っての練習試合は文字通り、サバイバルゲームになる。結果を残した選手にはベンチ入りの可能性が出てきたことを告げる一方、残せなかった選手とは取り組むべき課題について話し合う。

 やはり、数字には説得力がある。「試合で使ってもらえないのは、監督に嫌われているからじゃなく、力がないためだと。そのことに気づき、ベクトルが誰かではなく、自分の方に向けば、練習に取り組む姿勢も変わってくる」

 これこそが、西谷が目指すチームづくりの土台なのだ。