●甲子園で勝つことも大事だが、あくまでも主役の選手の成長が重要。

○高校野球は負けてもいい。

平田監督は「高校野球はプロではないので負けてもいいと思います」
「失敗しても負けてもそれが糧となって次のステップに進むことができれがいい」
と言ってます。
これが平田監督の野球を指導する場合の姿勢である。
かつての横高は常に甲子園で優勝することが絶対的目標だった。だから小倉元部長
は「勝つための野球を叩き込む」指導を徹底的に教え込み「常勝軍団」を作り上げ
て来た。
「負けてもいい」は、明らかにかつての勝利至上主義の否定であり、横高野球の
根本的な姿勢の転換である。

○主役は生徒。

平田監督は「高校野球はあくまでも高校の課外授業であり主役は生徒である」と
言ってます。
高校野球は「教育の一環」「選手の成長が第一」という考えが根本に据えられて
いる。
だからあえて「私は野球で生活しているのではなく教員として高校生を指導して
いる」と強調している。
ここで大事なのは、高校野球の捉え方を「課外授業」「生徒が主役」としたこと
を明確にしたことにある。当たり前のことなのだが、あえて強調する場合には、
横高野球が勝利至上主義であり、「プロ養成学校」化になっていたことを改める
ためにあえて強調していると思う。
また「周りからの期待や外野からの声にとらわれるのは良くない」とも言っている。
横高の社会的な影響と外部からの支援体制も大きくなり、「部活」の域を超える
存在になりすぎた。常に甲子園での優勝を期待されファンやOBからの要望や「プレ
ッシャー」も一段と高くなり、それが「圧力」にすらなっていた。
平田監督は改めて「主役は生徒」と強調にすることによって、ファンやOB、周り
からの期待の為にやっているのではないと明確にしたのだと思う。

○「勝利至上主義」の否定が「勝利の否定」ではない。

平田監督は「負けてもいい」とは言っているが「勝たなくていい」とは言ってない。
高校野球という勝ち負けのはっきりしている厳しい勝負の世界においてどう選手を
成長させていくのか?ということを主眼においているのである。
すなわち「勝利至上主義」の否定が「勝利の否定」ではないことも考えておく必要
がある。