増山さんは、何があったか知らないというより、
もしかして下井草の夜のやりとりがどれほど深刻な萩尾さんへのダメージになったかを、単純に理解していなかった可能性もあったな
竹宮さんも、萩尾さんを遠ざけて増山さんを自分専属の知恵袋として独占して、萩尾さんに寄宿舎ものを書くのを断念させて、その内描くはずの風木のスタートを衝撃的なものに出来ればよかった

萩尾さんが目を患い、漫画家を断念するかとまで悩み、その後痛みを半世紀も引きずるほどの深刻な心の傷を負ったことは、竹宮さんにとっては多分幸運かつ予想外の副産物だった
敢えて幸運と推測するのはロンド・カプリチオーソから
竹宮さんは決して嫉妬を昇華や克服したのではなく、盲目で短命な天才ニコルよりアルベルの方が素晴らしいとマチアに言わせてた

そして、増山さんは勿論、ダメ押しの卑怯な手渡し手紙のことは、知らされていなかった 
その後も別に萩尾さんに隔意を抱くでもなく屈託なくて、萩尾さんが倒れた時に駆けつけたりしてるな
引っ越しの日には、萩尾さんに竹宮さんにかまけて萩尾さんに寂しい思いをさせたと泣いて詫びてる