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悲劇の魔王ミルドラース悲劇の教祖イブール [無断転載禁止]©2ch.net
0001名無したんはエロカワイイ
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2016/11/09(水) 18:58:45.75ID:H6Vu+yGQ0
DQ5の悪役2トップ!
かたやラスボスなのに空気
かたやリメイクでゲマにトドメ刺される
0033名無したんはエロカワイイ
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2024/05/04(土) 19:25:32.38ID:odQxROn70
「教祖イブールか」
「いかにも」
男の声は地を這い、闇を揺すった。
「かけたまえ、マーサの息子」
ローブを揺すって痩せた手を出し、古びた木の卓と小さな二つの椅子を示す。卓の上には、切り子ガラスの盃がふたつ、瓶がひとつ、用意されている。イブールは腰をおろし、両手を卓に乗せて、リュカを待った。
「おまえの盃は受けない」
リュカは椅子にかけはしたが、手は伸ばさなかった。
「おまえは、善良なひとびとに邪悪な教えを吹きこんだ。何百という生命を犠牲にして、こんな恐ろしい砦を造り上げた。ぼくの子供たちをさらおうとして失敗すると、今度はビアンカを人質にとった。彼女を盾にして、我が母であるマーサに、おまえの欲望の手伝いをさせたのだろう!」
「なんと卑しいことを考えてくれるのだ」
イブールは酒を嘗めた。
「そうではない。マーサはもうずっと前から、ここにいないよ。お前の母は、自らすすんで暗黒の魔界へ、大魔王ミルドラースさまのもとに赴いたのだ」
「……なんだって?魔王?」
「だから、あの愚かなラマダにマーサのふりをさせておかなければならなかったんじゃないか」
イブールは深々とため息をついた。
「マーサの息子よ、いったい、どう言ったらわかってくれるだろう?わたしはマーサを愛している。そなたが生まれるよりも前から、ずっと変わらずにだ。そのマーサの子であるおまえと、できることなら、争いたくなどなかった。だから、なんとかおまえを遠ざけ、その手の届かぬところでことを成し遂げたかった。だが、おまえは、こんなところまでやって来てしまった!……あのジャミというあわれな馬魔を覚えておろう?おまえと妻があいつの呪いによって石くれとなり果てたとき、わたしはほんとうにホッとしたんだよ。これで、おまえを殺さずにすむと。おまえたちを新しい世界につれてゆけば、きっとマーサが喜ぶだろうと」
「新しい世界だと?」
リュカは目を細めた。
「それは闇の支配する世の中か?邪教の信者だけが生き残るという世界のことか?イブール、おまえは狂っている。思いあがっている。信者だの、奴隷だの。おまえが力づくでかきあつめたのは、自分を崇めてくれるもの、讃えてくれるものばかりだ。おまえは生まれながらの負け犬だ。だから、力あるマーサを妬んだ。神を嫉妬したんだ!」
0034名無したんはエロカワイイ
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2024/05/04(土) 19:25:52.43ID:odQxROn70
「神?」
イブールは席を蹴り、怒ったように歩き回った。
「なんと。おまえはまだ神を信じているのか?……バカめ!いいか、これまでに世界中に起こったことがらは、すべて、神の責任、神の筋書きどおりなのだぞ。いちど、落ち着いて考えてみろ!神は世を三つに分けた。天界と地上、そして魔界だ。天界をはみだしたものは地上に堕ち、地上を追い払われたものは魔界に満ちるというわけだ。おかげで天界はきれいさっぱりかたづいたが、地上ときたらこのとおり、さらに魔界は?暗黒の魔界はどうなった?」
イブールは盃に酒を注いだ。どぶどぶと、溢れるままに。
「……こうだ!いずれこうなることは、わかりきっているじゃないか。全知全能の神ともあろうものがそのぐらいのことを考えなかったはずがない!」
こぼれた酒を手で払って、イブールは方で息をついた。
「お前は魔物使いではないか。マーサ同様、魔物たちを、魔物であるからといって悪しざまに言うただの人間どもとは違うではないか。なぜ、魔物たちを哀れまぬ?魔界はさっさと満杯になってしまい、多くのものが行き場を失って、しかたなく地上をうろつきまわった。地上のひとびとは困り果てた。そんなときのために、神は門をつくったはずだ。門番としての特別の人間たちを、我々エルへブンの民を生んだはずだ!」
イブールは卓に両手をつき、リュカを見下ろした。
「だが、ならばマーサはなんだ?望まれしものとしてのマーサとは、いったいなんなのだ?獣も鳥も、魔物さえ、彼女にとっては、等しく同じだけ価値のある愛しいものなのだ。彼女が大巫女の座につけば、門などもはや、意味はない。魔界と地上はごたまぜになってしまうだろう。そんな彼女を、マーサの息子よ、教えてくれ!神は、いったい、何のために生んだのだ?」
リュカが答えぬと、イブールはますます早口になって執拗に言い募った。
0035名無したんはエロカワイイ
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2024/05/04(土) 19:26:28.53ID:odQxROn70
「終局さ。…違うか?これは全て、予め設定されていた終焉の筋書きなのだ。神は、地上と魔界を混沌とさせ、お前や俺を遊戯の駒になした。
天界の無事を守るため、地上と魔界を相争わせて、対消滅させ、一から、白紙から、やり直すつもりなんだよ。
…そのことに、私は、遥かな昔に気がついた。そなたの父がマーサを誘拐した時にな。あの時も、長老どもはただおろおろと途方にくれるばかりだった。
数百年の歴史を持つエルヘブンも、いざ終末にめぐりあった時には、何をすればいいのか理解しえなかった!
こうなったら、なんとかして魔界と結託しなければならないと、わたしは彼らに言ったよ、虐げられた魔界の連中としっかり力をあわせれば、
神と交渉することができるかもしれない。地上が、人間が、このまま為す術もなく滅びるのを、食い止めることができるかもしれないと!
すると、あの無知なものたちは、私を裏切り者と呼び、幽閉しようとした。閉じ込められる訳にはいかなかった。何とかしてマーサを取り戻し、ふたりそろって、魔王に同盟を迫らなければならなかった!
すると…ゲマが現れた!魔王もまた、わたしを求めていたのだよ!神がそのままの姿では地上に降り得ぬのと同様、魔王もまたその存在のあまりの大きさ故に特別の御座を必要とする。
わたしは名を捨て、名を変えた、神にいただいたイーブという名を、闇の神、魔王に仕えるものイブールと改めるを誓いとして、神殿を起こした!
誰かが教える必要があった。神ではなく魔王に仕えるための心構えを。誰かが救う必要があった。神なき世に暮らすひとびとを!
わたしは努力した。だが、わたしはおのが力の限界をも知る誠実な男だ。だから、わたしはマーサを求めた。彼女の大いなる力を…ああ、けしてわたし自身の為にではない。人々の為に!欲したのだ。
たとえ、結果として、この手が血赤に染まろうと…故郷のひとびとを裏切り、我が神を奉じぬ奴隷たちを、多く死に至らしめることになるとしても…
わたしは、わたしのさだめをなさなければならなかった!大いなる天数の前には、たかが人間一匹、逆らうことなどできはしない!だが…。
私がやっとの思いでマーサの居場所をつきとめ、この手に無事に取り戻したとき……彼女はすでに、リュカ、お前を生み落としていたのだな。…ふふ…ははは…あーっはははは!」
0036名無したんはエロカワイイ
垢版 |
2024/05/04(土) 19:27:18.05ID:odQxROn70
イブールは笑いだした。卓を揺すり、まるで何か毒にでも当たったかのように狂笑した。
「神は、なんと巧妙だったのだろう!わたしがただひとり奔走してる間に、おまえたち神の走狗は、すっかり準備を整えてしまった。とんとだまされてしまったな。神ははじめから、いなくなってなどいなかった。思いもかけぬような布石を投じながら、神は、ただ魔王をその隠れ場から引きずりだし、時の至るのを待っていたのだ!」
リュカの周囲に黒闇が激しく渦巻き、稲光が轟きわたった。
「さぁ、勝負だ……マーサの息子!わたしは神を憎む。こんな茶番にひきずりこんだやつを憎む!そんな神など欲しくない、神なき世をこそ選択する!……だから、おまえたちを魔界に送るわけにはいかない。大魔王ミルドラースさまの邪魔をさせるわけにはいかぬ!そして光の時代は終わり、闇の時代が訪れるのだ!」
言い終わらぬうちに、イブールは、ぶきみな怪物に変わった。人間の形の中に眠っていた忌まわしいもの……腐りかけたゼリーのようにてらてらし、硫黄臭い息を吐く怪物が姿を現したのだ!
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