[第5問]
本問は、標準原価計算の問題です。原価標準の意味、差異分析の計算、および仕
掛品勘定の記入が理解できているかどうかを問う問題です。第4問までの解答
で時間が足りなくなってしまった受験者も多かったのでしょうか。単一製品で
月初仕掛品のないケースという基礎的な問題であるにもかかわらず、未記入の
答案も見られました。
原価標準は製品の単位あたりの標準原価のことです。計算そのものはやや複雑
であったかもしれませんが、3の資料を用いて、直接材料費、直接労務費、製造
間接費それぞれを価格要素と数量要素を乗じることで計算できます。
差異の計算も比較的容易な問題です。総差異は、数量要素の差異と価格要素の差
異に分解できます。月初仕掛品はありませんので、実際生産量は製品完成量に月
末仕掛品換算量を加えた数値になります。この実際生産量に見合う標準消費量
を実際の消費量との差で計算するのが直接材料費の消費量差異です。同じく、実
際生産量に見合う標準直接作業時間と実際直接作業時間の差に、標準賃率を乗
じたものが直接労務費の作業時間差異です。
なお、直接材料費の価格差異や直接労務費の賃率差異も、復習をかねて計算して
おくとよいでしょう。製造間接費の総差異は予算差異、能率差異および操業度差
異に分解できます。予算差異は、本問で示されている資料では製造間接費予算が
変動費部分と固定費部分に分かれていませんから、単に資料3の予算と資料2
の実際発生額を比較するだけです(このような予算を、変動予算に対して固定予
算といいます)。
パーシャル・プランとは、仕掛品勘定の借方に実際発生額を集計し、貸方には標
準原価で完成品原価と月末仕掛品原価を記帳する方法です。仕掛品勘定の貸借
差額で差異が把握できます。