[第3問]
本問は、修正記入欄で決算整理事項とそれ以外の修正事項による修正を行い、
損益計算書と貸借対照表の作成に至る過程を示す精算表の作成問題であり、8
桁精算表の作成問題としては基本的な問題です。ただし、決算整理事項とそれ以
外の修正事項の中に若干考えさせる点を加えているので、単なる8桁精算表の
問題ではなく、応用能力あるいは思考能力をも問うことを意図しています。本問
のできは、相対的に芳しくなかったといえます。
具体的にいえば、売上割引の処理、誤記入の訂正とそれに対応した貸倒引当金の
計上、建設仮勘定の建物への振替処理とその分に係る減価償却費の計上、期末商
品棚卸高について発生する評価損および棚卸減耗損の処理などがそのような点
に該当するでしょう。本問の解答にあたっては、これらの修正事項に関する仕訳
が正確にできるかどうかが、鍵となります。
これらの事項のうちで、特に考えさせられる点は、商品評価損を売上原価に算入
しないという処理と、棚卸減耗損を売上原価に算入する額と算入しない額を分
けて計上する処理です。全体としてこの事項に関する処理が極めてできが悪か
ったようです。これらの処理が精算表を作成した場合に、修正記入欄でどのよう
な記入となって現れてくるかをきちんと理解しておくことが必要です。また、売
上原価に算入される金額と算入されない金額の計算もきちんと行うことが必要
です。解答にさいしては、「それぞれの商品の期末帳簿棚卸高の5%」という点
がポイントとなるので、個々の商品ごとに評価損減耗損を正確に計算すること
が重要です。しかし、答案には「それぞれの」という文言を見落として、期末の
商品の帳簿棚卸高全体の5%として計算しているものが意外に多く、問題文を
正確に読むことも受験技術としては大事なことであるということを十分に認識
してほしいところです。