[第2問]
本問は、固定資産の取得(資本的支出)、売却(除却)および減価償却という基
本的な固定資産取引を題材に、固定資産および減価償却累計額勘定への記入を
問う問題です。丁寧に計算して仕訳し、転記すればよいだけです。確かに、取得
後の資本的支出に係る部分の減価償却、定率法による減価償却は、2級の出題範
囲に固有の問題です。しかし、採点結果を大きく左右したのは、むしろ備品勘定
への記入(4級の出題範囲)、間接法による減価償却の記帳や売却処理(3級の
出題範囲)でした。
「出題の意図」において繰り返し指摘していることですが、検定試験で問われて
いるのは、いかに過去に出題された問題を要領よく解くかではなくて、簿記処理
の背後にある基本的な考え方や仕組みを理解しているかです。例えば、総勘定元
帳の各勘定の摘要欄や仕丁欄に何を記入するかが分かっていたでしょうか。勘
定の締め切り方が分かっていたでしょうか。あるいは、定額法と定率法のいずれ
を用いるかによって、将来の売却損益に違いが生じますが、過年度の減価償却費
と売却損益を通算すると、定額法と定率法のいずれの方法を採用しても同額と
なることが理解されていたでしょうか。
今回の採点結果は、大変驚きをもって受け止めています。簿記の問題の出題形式
は無限であって、限られた数の出題形式に対応した画一的な解き方をもってし
ては、十分には対応できないことを肝に銘じていただきたいものです。