JR社長「リニアは国策」 大井川流量問題、国調整に期待感|静岡新聞アットエス
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 JR東海の金子慎社長は12日、名古屋市で開いた定例記者会見で、南アルプストンネル
工事に伴う大井川の流量減少問題で静岡県との溝が埋まらないリニア中央新幹線事業
について「国策と言えるような目的の下に進められている。早期開業への期待が大きい」
と強調し、国家事業への理解を県に求めた。静岡工区(静岡市葵区)だけ着工できない
期間が長引き、同社は国の後ろ盾を背景に、環境などへの影響を懸念する地元から
強行とも取られかねない姿勢を鮮明にし始めている。

 金子社長は先月末の東京での記者会見で、2027年を目指す東京・品川−名古屋間の
開業が遅れる可能性を示唆。この日も「着手できない状態が続けば、開業時期に影響する」
と言及した。県との対話に「今後も誠実に取り組む」とする一方で「計画が円滑に進むよう
主管庁に措置をしてもらえるならありがたい」と国が調整役に乗り出すことにも期待感を示した。

 金子社長の東京会見を受け、石井啓一国土交通相は「事業全体が円滑に進むよう
調整や協議などを行いたい」と“介入”を示唆していた。愛知県の大村秀章知事も
10日の記者会見でリニアを「国の事業」とし、国が調整する責任を強調。ただ、
リニア建設は相次ぐトラブルで全体の遅れも指摘される。静岡工区の影響を除いても、
27年に間に合うかは不透明。

 ■静岡知事、安易な妥協しない姿勢
 川勝平太知事はリニア中央新幹線の国家的意義に一定の理解を示しているが、
大井川源流部を横切る南アルプストンネルの本体工事に関しては、11日の記者会見で
「命の源である水の供給源だ。水が足りなくなり干上がる可能性が極めて高い」と述べ、
あくまで水問題と捉えて安易な妥協をしない姿勢を示している。流量減少対策を巡る
協議でJR東海から納得行く回答が得られておらず「生活に影響が出たらどうするのか」
と本体工事を認めない方針を堅持する。