さらに投資家は中国銀行から多額の保証金を求められ、中国銀行は「この件に関する延滞は個人信用調査に影響を及ぼす」と表明した。この出来事はすぐに大きな騒動に発展した。同日夜8時、中国銀行は声明で、当該商品の合規性を強調したが、顧客に対し引き続き保証金を求めるかどうかというセンシティブな問題についての言及は避けた。

財新の取材に応じたある投資家は、「(保有する)ポジションの平均価格は184.73元(1元は約15円)で、中国銀行が報告した終値は-266.12元だった」と述べる。彼は5万元分の“原油宝”を購入したが、現在の評価損益は-12.98万元になっている。つまり銀行に約8万元もの“借金”をしていることになる。
“原油宝”とは中国銀行の“紙原油”(訳注:帳簿上で取引されている原油連動の投資商品)の名称だ。現行の銀行規則に従うと、商業銀行は先物取引に直接参加することはできない。“紙原油”の基本原理は、個人投資家が銀行と取引を行い、原油商品の売買を実現するというものだ。
中国の4大国有商業銀行のひとつである中国銀行が一般投資家向けに販売していた小口投資商品「原油宝」をめぐる巨額損失事件で、中国政府が事態の収拾に乗り出した。

原油宝は基準価額が原油先物契約に連動しており、4月20日に原油先物相場が史上初のマイナス値を記録した際に莫大な損失が発生。その負担と責任をめぐって投資家と中国銀行の確執が深まっていた(訳注:詳しい経緯は『中国の銀行「原油先物マイナス」でカモられた訳』を参照)。

財新の独自取材によれば、5月4日、経済担当副首相の劉鶴氏の主宰で開かれた国務院金融安定発展委員会で原油宝の対応が協議された。その結果、損失額のうち投資家が差し入れていた保証金を超える部分は中国銀行が負担。保証金の部分についても投資額が1000万元(約1億5000万円)以下の顧客には差し入れ額の20%を返還するというガイドラインが決まった。
4さらに投資家は中国銀行から多額の保証金を求められ、中国銀行は「この件に関する延滞は個人信用調査に影響を及ぼす」と表明した。この出来事はすぐに大きな騒動に発展した。同日夜8時、中国銀行は声明で、当該商品の合規性を強調したが、顧客に対し引き続き保証金を求めるかどうかというセンシティブな問題についての言及は避けた。