昨年四月の原油マイナス騒ぎの原因
中国の銀行と投資家が世界に迷惑

4月20日、原油先物価格が史上初めてマイナスに転じる暴落劇が起きた。その背後には、原油マーケットへ急速に流入した中国からの巨額の投機資金と、それを標的にした空売り勢とのマネーゲームが見え隠れする。中国の独立系メディア「財新」の取材班は、現地のマーケット関係者を徹底取材。投資家に巨額の損失を負わせた投資商品“原油宝”の正体を暴いている。
“究極のブラックスワン”が飛来した。世界最大の先物商品である原油は、3月初めから、その歴史的な暗黒の瞬間が訪れるまで暴落し続けた。

北京時間4月21日未明(アメリカ時間20日午後)、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)先物原油5月限(ぎり)の清算値が、一時1バレル=-40.32ドル(320%安)まで暴落した。原油価格とその下落幅のどちらに関しても歴史的な出来事だ。この日、最終的にWTI5月限の清算値は1バレル=-37.63ドルとなった。
WTI5月限とは西テキサス地方の軽質原油の5月の先物取引という意味で、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場している。WTIは良好な流動性、価格に関する高い透明性、最大の建玉数を誇る国際原油市場における3大基準価格の1つである。
銀行に預けていた保証金が一夜でゼロに
4月22日、中国銀行の“原油宝”(訳注:原油先物契約に連動する小口の投資商品)に投資していた多くの投資家は、WTI先物5月限の収益が大幅にマイナスになっていることに気がついた。銀行に預け入れていた保証金が一夜にしてゼロになったのだ。