アベノミクスはなぜ失敗したのか 
 山家悠紀夫『日本経済30年史/バブルからアベノミクスまで』

日銀がマネタリーベースを思い切り増やせば「増えた手元資金をもとに、市中金融機関は貸出を行うだろうから、
民間の経済主体が保有する資金量も増加するだろう、
その増加した資金が消費や投資に向かい民間の経済活動が活発化するだろう、物価も上がるだろう、というのが日銀の狙いである」。
日銀が消費者物価の上昇率を2%にすると言っているので
「民間の企業や個人も、やがて物価上昇率が2%になると信じるようになり、そうなる前に一段と消費や投資を増やすようになる」だろう……。
これが安倍首相と日銀のアベノミクスのシナリオである。
ところが、すべてそうはならなかった。
それで焦った日銀は、14年10月にはさらなる「質的・量的金融緩和の拡大」と称して、 マネタリーベースの増加目標をアップすると共に、
市中金融機関の日銀当座預金にマイナス金利を課せば、そこから資金の追い出せるだろうと思ったが、これもまた当てが外れた。
「これら『大胆な金融政策』の結果はどうか?惨憺たる失敗、というほかない」と、山家は断言する。