しかし今回は、銀行はどちらかと言えば被害者というのが世論の理解であった。
保有していた国債が暴落したのもジャパン・プレミアムを払わされたのも、
政府の財政赤字が悪いのだ、ということであった。そこで、
比較的スムーズに銀行救済策が実現した。
内容は、銀行に議決権の無い優先株を発行させて政府が購入する、
というものであった。将来、銀行の自己資本が充実してきた段階で、
銀行が政府から優先株を買い戻すという条件であったため、
法的には、また決算書上は、株式であったが、実質的には融資に
近い性格であったと言えよう。
こうして銀行が短期間で健全性を回復したため、
銀行の融資が滞ることもなかった。金融市場は大混乱したが、
実体経済は何事も無かったかのように、通常の活動を続けていた。
当然、企業の生産も利益も影響は受けなかったから、株価も
以前の水準まで戻った。ここでも嵐は去ったのである。
おしまい。