政府と日銀は、高らかに勝利宣言をした。「ご安心下さい。
嵐は過ぎ去りました。あとは、残骸の整理をしっかりと行ないます」
すでに欧米の市場は開いており、猛烈なドル売り円買いが起きていた。
円を空売りしていた投資家が一斉に買い戻しを始めたのである。
■残骸の整理:銀行の倒産を回避

多くの投資家が大損をした。倒産する所も出てくるだろう。
政府・日銀連合軍が巨額の利益を得たのだから、
損をした投資家がいるのは当然のことだ。それは「自己責任」
の世界の事であるから、政府が救済すべきことでもあるまい。
といっても、何事にも例外はある。銀行が倒産すると困るのである。
金融は経済の血液と言われている。銀行の倒産によって金融の
流れが止まってしまうと、実体経済が廻らなくなり、
大打撃を被りかねないのである。そこで、銀行が倒産しない
ような救済策が必要となるのである。
バブルが崩壊した後、多くの銀行が倒産し、金融危機となった際、
政府が銀行を救済しようとして大きな議論となった。
「バブルの戦犯であり、最近では貸し渋りをしている
ケシカラン銀行を助けるために、我々の血税を使うのはダメ」
といった反対意見が多かったのである。