アベノミクスの行き詰まり

安倍氏は12年12月に首相に就任する以前から、日本経済の「再生」のためには
物価が下がり続ける「デフレ」からの脱却が必要だと、消費者物価の上昇を目標に、
異常な金融緩和を実行することを求めて当時の白川方明(まさあき)日銀総裁らに迫り続けてきました。
消費者物価の上昇は経済活動が活発になり、消費や賃金が上昇する結果で、
金融の緩和で人為的に物価上昇を引き上げるのは当時の経済学でも“邪道”とされていました。
しかし「異次元の金融緩和」に固執する安倍首相は、就任直後、任期が残っていた
白川前総裁をやめさせ、自らの主張に近い黒田氏を新総裁に据えて、異常な金融緩和に乗り出します。
日銀の金融政策は普通、日銀が銀行と取引する政策金利を上下させたり、
市中に出回っている国債などを買い上げたりしますが、
金融緩和を目指す黒田総裁になって金利は「ゼロ」どころか「マイナス」が
常態化する異常ぶりで、日銀が買い上げる国債や投資信託の量も増え続けています。
安倍首相や黒田総裁は、この「異次元の金融緩和」を財政の拡大政策や
「規制緩和」による成長政策と並べて「アベノミクス」の柱だと称してきましたが、
6度も目標達成を先延ばしし、もう失敗は明白です。