●銀行が稼げない

銀行は企業向け融資の貸出利ザヤが確保できず、国債による資金運用もままならならい。
マイナス金利だから、必要以上に日本銀行に預けておくわけにもいかない。
銀行は個人向けローン事業で利益を出すしか道がなくなってしまった。

「日銀の思惑は、日銀に預けるお金を増やすとマイナス金利というペナルティが与えられるから、銀行は企業への融資や海外投資に資金を振り分けるだろうというものだった。
企業に資金が回れば、設備投資が増えて経済は拡大すると考えたのだ。しかし、実際にはそうはならなかった。
デフレから脱却していない今はまだ、企業に設備投資のニーズがない。資金需要がないから、銀行は融資を増やそうにも増やせないのだ。
企業が設備投資をしないのは、消費が増えないからであり、最大の理由は庶民の実収入が2.9%も落ちているからだ」(前出と別の金融業界関係者)

アベノミクスの前提は、金融緩和で円安を進めれば、輸出産業を中心とした勝ち組企業が潤い、
それが中小企業や一般国民にも滴り落ちて、景気が拡大していくという「トリクルダウン」理論だった。しかし、それが間違いだったことは論をまたない。