東京・荒川区東尾久の和菓子店で、女子大生の木津いぶきさん(18)が冷蔵庫内で変わり果てた姿で見つかり、
後に店経営者で父親の英喜さん(43)もさいたま市内の河川敷で首をつって死亡しているのを発見されたという痛ましい事件が起きた。父娘が死に至った原因は何だったのか。
行方をくらましていた父親の英喜さんがさいたま市岩槻区の河川敷で木に首をつって死んでいるのが見つかった。

「勤勉」「おとなしい」「とてもいい人」というのが英喜さんのもっぱらの評判だった。

いぶきさんの弟から「お父さんが自殺しようとしている。
お母さんが電話で止めている」と110番通報があった。
その前後に、父親から自宅に電話で「娘を店で切った。死にたい。手首を切った。川に沈んで死ぬ」などの連絡があったという。

ご主人は本当にいい人でしたよ。まさかあの人が死ぬなんてねえ」と納得できないように首をかしげる。
仕事は非常に厳しかったようだ。「朝の6時にはシャッターを開けて準備。夜7時ごろに店を閉めて家に帰っても、また夜10時に来て翌日の仕込みをして日付が変わるころに帰っていく。
働きすぎだったよ。家のことが落ち着くと奥さんも手伝いに来るけど、旦那さんがほとんどのことをやっていた」(同関係者)

そこまで働いたのは、子供たちのためだったという。「お嬢さんも息子さんも私立の学校に通っていた。子供たちやご主人じゃなくて、奥様のご意向だと聞きました。それで身を粉にして働いて…。
痩せ形でストレスがたまるまで追い詰められてたのかしら」(前同)。
近くの同業者も「小さい和菓子屋はもう稼げない。大変だったと思う」と言う。

「お茶の教室で出すお菓子の相談をすると『こっちの方が今の季節にいいよ』とすすめてくれた。
小学校で子供たちにお茶を教えるのに40個買うとなれば『1個130円だけど100円でいい』とまけてくれた。優しい人だった」(客)。
商売がつらくても和菓子と子供を愛していたようだ。

これから店はどうなるのだろう。「もう無理でしょ。職人もいないし、こんなことになって、おめでたいお菓子を買うこともできないでしょ」(前出関係者)。
木津屋では、近所の小学校の入学式で出す紅白まんじゅうも納入していた。