このように統合失調症者の精神症状と肥満や逸脱行動や異常言動や怠けなどの目に見える病的所見は「脳の生物化学的欠損」が引き起こした問題であるにもかかわらず、
それを「本人の精神的な心理的問題、本人の意志の欠陥の障害」とみなしていることが少なくないのである。

全身の脂肪細胞はレプチンというホルモンを血液中に分泌している。
脳がそのレプチンを検知すると、脳がこれ以上食べ物は要らないと判断して空腹を感じなくなり、
交感神経の働きにより体脂肪が燃焼して体脂肪が減少する、
全身のエネルギー代謝が良くなり、筋力が向上して、幸福感と爽やかな良い楽しい気分になり、やる気に満ちて活動的になる。

血液中に十分な濃度のレプチンがあったとしても脳のインスリン抵抗性が高くなっていると同時にレプチン抵抗性も高く促進される。
脳のレプチン抵抗性によりレプチンを検知できない場合脳は飢餓状態と判断する、
すると脳はまだ食べ物が足りていないと食欲増進を誘発する。
これにより酷い空腹感が発生する。
脳はエネルギーを燃やしたくないので体脂肪が身体活動エネルギーとして燃焼される働きをストップさせ、
身体エネルギー代謝量は20%以上削減して、
食事で摂取したエネルギーを効率的に体脂肪に貯蔵して体脂肪が増加していく、
さらに活動的になってもらってはこまるので、
鬱、怠け、疲労感、眠気、気分の低下などの精神状態を、レプチン抵抗性による脳の生物化学的反応が引き起こすのである。

脳のインスリン抵抗性を下げると脳のレプチン抵抗性も下がることがわかっている。
したがって統合失調者の治療は脳のインスリン抵抗性を可能な限り低く保つ食事法と、
運動を継続することで脳と筋肉のインスリン抵抗性を常に低く保ち続けるのが最も優れたアプローチです。