あの会社を辞めて早くも3年が経とうとしている。
正直なところ、海が恋しくなることもある。
多くの時間を山の中で過ごしていると、無性に海が見たくなる時がある。
しかし、また船員として船に乗りたいわけではない。
自由気ままに潮風を浴びながら海で過ごしたいだけなのだ。
趣味で漁をやってみたいと思うこともある。

もちろん直ぐに断った。
3年も経とうというのに、まだ私のことを覚えていてくれたことは、凄く嬉しく思った。
電話の声からは、昔と変わりない温かい人柄が伝わってきた。
しかし、私は昔の私ではないのだ。
本当の自由の素晴らしさを知ってしまった人間なのだ。
もう後には戻れない。