東京中小企業家同友会は人手不足対策の一環として、ニートの戦力化の検討に乗り出した。既に一部の会員会社がアルバイトという形態で試験的に人材起用を開始。
一定の成果を確認した。
これに基づき、10月には若者を交えた討論会を実施することで、本格的な採用活動に向けてのルールづくりを目指す。
ニートを受け入れたのは、建設防水資材の販売施工を行う光栄商事(東京都練馬区)。
就労支援を行う「ねりま若者サポートステーション」と連携しながら人材を探し出し、1回につき10人、延べ30人が作業に携わった。
作業内容は建物屋根の掃除やウッドデッキのタイル除去など、防水工事の下準備。内田勲代表取締役は当初、「ガラスの心臓なのではないか」といった不安感を抱いていた。
しかし、実際の仕事ぶりを目の当たりにして「コミュニケーションが苦手なだけで、どうやったら効率的に進めることができるのか、といった点を考えてくれた」と、戦力として確かな手応えを感じたという。
こうした事例を踏まえ、10月に東京中小企業家同友会が開催し約400社が参加する「中小企業家サミット2016」では「育つ企業の『隠れた』人材」と題した討論会を実施。
ニートの戦力化について意見を交わして、具体的な対策へと発展させていく。
中小企業の人手不足をめぐる動きは「若干緩和されたものの、まだまだ続いている」(信金中央金庫の鉢嶺実上席主任研究員)というのが実態。
研削砥石(といし)メーカー、京浜工業所(東京都品川区)の内田亨副社長も「優秀な人材を採用したいが、なかなか集まってこない」と話す。
後半戦に差し掛かった2017年春卒業予定の就職活動でも苦戦を強いられている。
ニートは15〜34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない人を指す。このため、社会復帰したとしても即座に高度な仕事をこなすのは難しい。
こうした中、手作業や入力作業を多く抱える企業の間からは「『短時間でもいいから来てもらえるとありがたい』といった声が上がっている」(同友会の三鴨みちこ理事)という。
内閣府の「子ども・若者白書」によると15年のニートの数は56万人。“潜在市場”は大きいだけに、人手不足が進む中、戦力化に向けた動きは今後活発化しそうだ。

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