「北の湖親方は山口組6代目・司忍組長、司を補佐する弘道会の高山清司会長らと親交のあるA氏と昵懇だ。
A氏は、土木工事などを手がけるけっこうな経営規模のB社の実質的オーナーであり、6代目体制の経済基盤に大きく寄与している人物とみられている」
この警察幹部は資料を示しながら、名古屋に本社を置くB社が年商100億円を超す企業であり、
トヨタ自動車の関連企業などとも取引があるほか、中部国際空港工事でも業績を伸ばした企業である一方、愛知県警が作成した「暴力団関与企業台帳」に掲載されていることを説明した。
その台帳を見ると、確かにB社の名前があり、次のように記されていた
〈弘道会フロント〉
この「フロント」が示すのは、暴力団員や暴力団の準構成員、元暴力団員、
およびその親族などが経営に関与している企業だという認定だ。
つまり、県警はB社を全国の警察が注視する暴力団・弘道会が関与する企業だと認定したのである。
また、A氏やB社は、かつていくつかの事件に関与している。
1992年、A氏は自動車メーカーに不法に労働者を派遣したとして労働者派遣事業法違反で逮捕・起訴されたが、起訴状で元暴力団幹部と記されている。
捜査過程では、A氏が山口組系暴力団と交流があることから、暴力団の資金源になっている可能性があるとして、愛知県警暴力団対策2課が指揮を執った。